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おれ流~標本作製 ③ 展足/乾燥

d0126520_2222516.jpgStep. 2  展足 
: 標本の体勢を見栄えよく整える。

早速フェアの収穫物の展足にかかった。このアクベシアヌス、胴体の関節がふらふらだ。きっとお湯に漬けたら取れてしまうだろう・・・。



案の定、取れた。。。(泣



さて、いいサンプルなので、「標本作製」の続き。

d0126520_83158.jpg胴の右側に針を刺す。これは甲虫標本の慣例。

慣れないとなかなか難しいが、縦横2方向から見て、どちら側からもまっすぐになるように刺す。

図鑑の標本写真などを参考にして、
脚や触角がなるべく左右対称に格好良くなるよう心がけたいが、
基本、形は個人の好み
自分がいいなと感じる体勢に整形すべし。

慣れてくるに従って、自分のかたちができてくるものである。

さて、
胴が外れたが、見た目くっついた状態に仮置きして、展足する。
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自分は写真のように、触覚の形を固定している。
ここは「慣れ」が必要。

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で、小アジア小型ミヤマ。

小さくとも、針を使い分ければスムーズに展足がすすむ。
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ハリネズミ状態。
針の長短がお分かりになるだろうか。

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続けて、
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Step. 3 乾燥 
d0126520_3343219.jpg

適当な箱に並べて、乾燥剤を入れる。
防虫剤も一応投入してみる。

注意すべき点としては、時々、乾燥中の経過で、標本が縮んで形が崩れることがあるので、適宜手直しのため、チェックが必要というところだろうか。

乾燥剤を投入すれば、一週間でたいてい乾いている。
by Ginettino | 2007-09-24 02:19 | 標本作製 | Comments(0)

第54回 インセクトフェア @大手町

d0126520_7104190.jpg行ってきました。
今年もアツいフェアでした。

戦利品☆

帰ってから「あ、やっぱあれ買えばよかった」というのがぁぁぁ~まいっか。
by Ginettino | 2007-09-23 23:05 | 日々戯言 | Comments(0)

ミヤマのimage 古典③

前回の神話の出典の続き。3冊目。
以下に関係箇所の引用を挙げる。

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アントーニーヌス・リーベラーリス
『メタモルフォーシス: ギリシア変身物語集』

メタモルフォーシス ギリシア変身物語集 (講談社文芸文庫)

アントーニーヌス・リーベラーリス / 講談社

安村典子/訳,講談社文芸文庫,2006年
108-111頁

(引用)
第22話 ケラムボス

[・・・羊飼いケラムボスの生い立ち.com・・・] 

ケラムボスはこのようなことを語って、妖精たちを嘲笑していた。ところがしばらくすると突然霜が降り、谷川の水が凍りついた。大雪が降ってケラムボスの羊は小径や木々と同様に、雪に埋もれてしまい、ついに姿を消してしまった。そして妖精たちは、木を食べて生きるかぶと虫(ケラムビュクス)に彼の姿を変えてしまったのである。ケラムボスが彼女たちを嘲ったことに対して憤りをいだいていたためであった。
 この虫は木材の上に見つけることができる。かぎ型の歯をもち、両顎をしきりに動かす。体は黒く、楕円形をしている。丈夫な羽根をもっており、大きなフンコロガシに似ている。またこの虫は「木を食べる牛」とも呼ばれており、テッサリアー人はこれをケラムビュクスと呼ぶのである。子供たちはこの虫をおもちゃにして遊び、頭の部分を切り取って、飾りとして身につける。頭部には角があり、亀の甲羅から作られたリュラー(楽器)の形に似ている。
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このリーベラーリスの物語には、興味深い点がある。

それは、「ケラムビュクス」という呼称だ。
この本の巻末の註において、訳者は、この虫をCerambyx cerdoと解説している。Cerambyx cerdo Linne, 1758 すなわち、
Cerambycidae:カミキリムシである。そして、「実際にはフンコロガシとの共通点は少なく、姿形もあまり似ていない。」と述べている。


クワガタムシに変身したと語られてきたケラムボスは、
どこかでカミキリムシと混同されてしまったのだろうか。


これについて私見をのべるならば、リーベラーリスによって語られる描写は、クワガタムシであるといっていいように思っている。
とりわけ、「木を食べる牛」という描写などは、プリニウスが『博物誌』で言及した「ルカニアの『牛』」に通じると考えられる。
d0126520_5542530.jpgまた、クワガタムシは、質感や重厚さ、脚の感じなどの点でフンコロガシに似ているし、たとえば、「リュラーの形に似ている」と記している点などを教慮するならば、それはクワガタムシLucanus cervusが大顎を開いた頭の形のことを言っていると思っていいだろう。(図.「リュラー」を参照)

こう考えると、テッサリアにおける「ケラムビュクス」という呼称は、クワガタムシやカミキリムシといった甲虫の中で、大型で飛翔力が強く、大顎を備えたもの、を指すのかもしれない。だいぶ大味な分析だが、当たらずとも遠からずというところだろう。




しかし、
いただけない点がひとつ、訳についてである。

訳者は「木を食べる牛」について註を付し、

「かぶと虫の幼虫は特に樫の木を好み、驚くべき勢いで穴をあける。
かぶと虫が巣をつくると、その木は材木として使い物にならなくなるという。」

と書いている。

これは、カミキリムシによる樹木の食害を記したと思われるが、カミキリムシは、「かぶと虫」ではない(=ここでいう「ケラムボスのクワガタムシ」でもない)し、まして、「かぶと虫が巣をつくる」という記述には、頭を抱えてしまわざるを得ない...まるでのような物の言い方だ。違和感を禁じえない。

文中の「かぶと虫」とひらがな表記したことが、暗に、広義の「甲虫」を示唆するのなら分からなくもないが、もう少し、訳者自身の自然へのまなざしがほしいな~と、思うのである。
by Ginettino | 2007-09-22 00:15 | 文化的考察 | Comments(0)

ミヤマのimage 古典②

邦訳を、もうひとつ。
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プリニウス『博物誌』

プリニウスの博物誌 全3巻

プリニウス / 雄山閣出版

中野定雄ほか/訳,雄山閣出版,1986年,(Ⅰ)496頁

(引用)
カブト虫そのほか
[97]三四 ある種のものは、はねが殻の外被によって守られている。たとえばカブト虫である。これらの種にあってははねは薄くて弱々しい。彼らは針をあたえられていないが、それらのうち大型の一種類には非常に長い角があり、それは二本の岐をもち、その先端には鋸歯状の爪があって、自由にそれを閉じ合わせて噛むことができる。それらは実際お守りとして子供の首のまわりに吊るされる。[98] ニギディウスはこれらをルカニアの雄ウシと呼んでいる。・・・ 

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「ルカニアの雄牛」・・・カッコいいネーミングだ。


しかし、プリニウスの観察眼には恐れ入る。
ここで記述されたすべてが、まさにLucanus cervusそのものであることが明解なのだから。

初期近代にたるまで欧州の知識人・博物学者らの世界を把握する古典たりえた『博物誌』。その卓越した好奇心によって記述された自然の姿は、まちがいなく、今日のわれわれにも通じるものとなっている。

プリニウス
万歳☆
by Ginettino | 2007-09-21 23:21 | 文化的考察 | Comments(0)

ミヤマのimage 古典①

神話の出典、その邦訳があるので、
以下に関係箇所の引用を挙げる。

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オヴィディウス『変身物語』

オウィディウス 変身物語〈上〉 (岩波文庫)

オウィディウス / 岩波書店

中村善也/訳,岩波文庫,1984年
276頁

(引用)
・・・ところで、メデイアも、翼を持つ竜の車で宙に舞い上がらなければ、罰をまぬかれはできなかっただろう。上空へのがれた彼女はケイロンの母ピリュラの家郷である、鬱蒼たるペリオンの山を越えていった。オトリュスの峰も越えた。その昔、ケラムボスの身に起こった出来事によって有名となったあたりをも、過ぎてゆく。重い大地が一面の海におおわれ、水びたしとなったデウカリオンの大洪水のさい、妖精たちから授かった翼で空へ舞いあがり、おかげで溺れ死ぬのをまぬかれた――それがケラムボスだ。・・・
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翼を広げて空へ・・・と聞くと、
白鳥のような純白の翼を想像する。

だが・・・

ケラムボスがクワガタムシに変身したことを知っていると、幾分、残念な印象を禁じえない。


なぜなら、

飛ぶクワガタの、あの、

ぶゥゥゥーんという羽音が思い起こされてしまうから(笑
by Ginettino | 2007-09-21 23:03 | 文化的考察 | Comments(0)

ミヤマのimage

「美術の中の動物がもつシンボルやイメージ」について解説した本に、
クワガタムシの項があった。

拙訳を、以下に載せておく。

Lucia Impelluso, Nature and Its Symbols, translated by Stephen Sartarelli, The J. Paul Getty Museum, Los Angeles, 2004 (Italian ed. 2003, Mondadori Electa S.p.A, Milan), pp.339-341

Nature And Its Symbols (Guide to Imagery Series)

Lucia Impelluso / J Paul Getty Museum Pubns


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クワガタムシ
Stag Beetle

神話の起源 
羊飼いケラムボスCerambusがクワガタムシに変身する。

意味
悪or悪魔の象徴

出典 
 Ovid, Metamorphoses, 7:353-356 
 Pliny the Elder, Naturalis Historia, II.97
 Antoninus Liberalis, Metamorphoses, 22



クワガタムシのイメージは、しばしばスカラベ(甲虫)と結び付けて考えられた。その図像は、後期ゴシックの時代の美術に初見できる。

われわれは、神話の中に、ケラムボスCerambus、そしてTerambusという二人の人物が、クワガタムシに変身したという物語を見出すことができる。この二人の話はほぼ同じものといってよい。羊飼いケラムボスCerambusは、ギリシアのテッサリアにあるオスリー山で、羊の群れの番をして暮らしていた。美声に恵まれ、パンの笛の卓越した奏者であった。彼を訪れて音楽を聴くことを好んだニンフたちは、彼に感謝していた。しかしある日、羊飼いは神と口論し、二つの巨大な角を持つ虫に姿を変えられてしまう。その虫とは、生きるために木を齧る、「森を食べるクワガタムシ」であった。

この虫は、子供たちにとって、紐を結び付けて飛ばす格好の遊びの対象となった。

この虫の図像は、まず、14世紀後半から15世紀初頭にかけて、ヨーロッパの宮廷で発達した芸術の流れ「国際ゴシック様式」の、金や銀で彩色された写本中に、見出すことができる。

とはいえ、クワガタムシは、もっぱらそのほとんどが16世紀から17世紀の「北方ヨーロッパ」の絵画に描かれた。とりわけ、静物画、そして画面の下生えに描かれる。こうした描写の中のクワガタムシは、もっぱら悪魔の象徴といったものを意味していると考えられる。
おそらく、クワガタムシは「火」を撒き散らす危険な動物だという北方文化の共通する認識のためであろう。その「赤い」大顎の中に、赤熱した(石炭や薪などの)燃えさしを運んでいると考えられていたのである。

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by Ginettino | 2007-09-21 22:40 | 文化的考察 | Comments(0)

Fujita, 2007

藤田 宏
「ミヤマクワガタ大図鑑」
BE-KUWA, No.23, pp.8-23
Apr.2007

BE-KUWA (ビー・クワ) No.23

むし社(編集)/むし社

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待ちに待った(?)世界のミヤマクワガタ大図鑑である。
執筆者は、むし社の藤田宏氏。

「珍品度」なるカテゴリは、買い物するときの「限定品」って感覚と似ている・・・(笑
こういう遊びは、ビギナーの愛好者の楽しみが増えて良いと思う。
まあ、実際は、生き物なのだから、一旦生息場所が分かれば、それなりにたくさんいるのだろうけど、人目にあまり触れることの無いレアなものは、みな興味ありますもんね。


今回気になったポイントを、以下に挙げる。

L. cyclommatoidesが、L. formosusにされた。
ラオスが基産地であるformosus
ラオス側で採れるcyclommatoidesと思しき個体は、ベトナムのものと違いは無いと判断を下した結果である。

私見をのべるならば、
ラオスのものは、違うような印象をうける。
ラオスの個体はベトナムのものに比べ、

・微毛が少なく黄色さが目立つ
・顎の湾曲がゆるい
・顎先の開きが少し大きい、など。

こうした微妙なニュアンスレベルの違いで、同じとするか違うものとするかは、むずかしいところ。。。

ちなみに、尊敬する葛信彦氏の論文(月刊むしno. 378, Aug.2002, pp.2-14)においては、sp. cyclommatoidesとして掲載されている。
ごちゃごちゃになるので、
和名の「ホソアカミヤマ」は存続させるほうがいいかと思っている。



L. kraatziとして図示された個体
これは、イタリアのZilioli氏が記載したsp. brivioiではないだろうか?
頭部の張り出しの扁平感、微毛が無い、内歯の形状などの特徴から、別種と思われる。

少なくとも、L. kraatziではないのではない。


③L. sericeusなど、亜種が多い種のプレートが少なくなかった点。
紙面の都合上といういいわけは、悲しいな~
是非とも図示してもらいたかった。


by Ginettino | 2007-09-20 00:07 | Refarence | Comments(0)

Baba, 2004

Baba, M.
"A note on synopsis of Lucanus cervus (Linnaeus, 1758) (Coleoptera, Lucanudae)"
BE-KUWA No.11, May. 2004
pp.10-27
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馬場勝氏のヨーロッパミヤマクワガタ大図鑑が収録されている。

これは、馬場氏のコレクションを用いることで、ヴィジュアル的にも充実したLucanus cervusの類の考察となった。
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欧州のミヤマに特化した超マニアックな内容なので、「ミヤマ特集」と聞いて「世界のミヤマ」を期待していた巷の声はヨーロッパミヤマだけじゃん!」だった・・・笑


***********************

さて、この馬場氏の図鑑に対して、自分の見解をのべてみたい。

この特集を概観したとき、馬場氏はさすが大胆だな~という印象をうけた。

例えば、Lucanus ceruvusを、大きく「6亜種」に分け、整理したこと。

Lucanus cervusの分類することの難しい点が、まさにここにあると思う。

「記載文などの資料から、実物を推測し、種を当てはめる」といった作業の限界ともいえるかもしれない。

トルコあたりの小アジアの亜種になればなるほど、データは少なく、信憑性や根拠に欠ける。
分類学として、標本・採集データの確かな積み重ねが、こうした図鑑の信頼にもつながるわけなのだから。


では、具体的に。
●馬場氏がsp. cervusの触覚の数から、型(Form)を定め、ssp. trcicusと分類を試みている。

氏が定めた型(form)に関して、私も同感だ。
しかしながら、trcicusという亜種の分類については、結論を出すにはもう少し・・・
私が知るところでは、ずんぐりしていて扁平な体型をもつ触覚6節のtrcicusと思われる個体群の中にも、5節や4節の触覚を持つものがいる。

体型と触覚のみを根拠にするにはちょっと強引かなと。
なので、「本物」trcicusってなに? 


●ibericusの項で、orientarisとの違いが、「前胸腹板の形状や、毛の特徴」にあると書かれている。

しかし、「前胸腹板や、毛」が、どのように違うのか?そこって肝心なトコじゃない??
もう少し詳しく教えていただきたいっ!というのが率直な感想。
確かに、微毛や光沢に違いを見ることはできる。
しかし、前胸腹板の後ろが「尖る/尖らない」といった違いは、一部の種類においてのみ顕著で、むしろ、全体のフォルムや、触覚の片状部の「幅」に違いがうかがえると思う。


他にも指摘点はあるが、
もっとも、このようにヨーロッパミヤマを「日本語」ベースで一通りまとめたという点で、
馬場氏のこの図鑑の価値は大きい。
by Ginettino | 2007-09-19 03:11 | Refarence | Comments(0)

おれ流~標本作製 ② 軟化

外国産のミヤマの標本を購入した場合を前提に、

【軟化⇒展足⇒乾燥】という手順で行う。

(採集したミヤマを標本にする場合は、また別の機会に。)

Step. 1 軟化 
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: 一般に、図のように煮干のごとくカラカラに乾燥した状態でパッキングされている。

まずは水分を含ませ、柔らかくさせる。

私は、もっぱら軟化には「お湯」を用いている。

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虫の種類や標本の状態によって、アルコールや水分を含ませた脱脂綿のタッパーに入れることが一般に言われていることである。


私は「お湯」につけて軟化する。
これが一番「時間がかからない」。 
“Time is money.”だ。

ミヤマに限っていえば、変色などの不都合はなく、ほとんど難なく作業できているし、
さらに言えば、すぐに【展足⇒乾燥】というプロセスにもっていける。

私のように、手をつけたらさっさと片付けたいタイプの方にはちょうど良いと思う。

しかしながら、軟化する前には、
少なくとも1日は無水エタノールに浸した脱脂綿入りのタッパーの中に入れ、
消毒をこころがけたい。

すべては殺菌のためだ。




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では、軟化の流れを。

まず、タッパーに熱湯を適量を入れる。

これに、ミヤマを投入。

このとき、ふやけた汚れをでさっと綺麗に取ってしまう。

10秒ぐらいお湯に漬けたら、ティッシュに乗せる。

壊さないように慎重に触れ、関節がふらふらになっていればOK。

ティッシュに包んで水気を切る。



状態の良い標本なら、死んだ直後のように体勢を保つので、壊れる心配は皆無である。


しかし、たやすく動かせないほどに硬い状態であるならば、再度、適宜お湯に漬ける。

たいてい、健全に薬品で処理された状態の良い標本は、難なく関節がゆるくなるはず。



しかし、
標本の状態によって以下のような違いがでるので覚えておいていただきたい。
 
①腐った標本
死んで腐った状態で乾燥したものは、お湯に入れるとばらばらに崩れる。
フランスラベルのL.cervusに多い。
つまり、頭・胴が外れたり、符節が取れたり、触角が折れたりする。

数をこなしてくると、このようになる個体は臭いなどで予想が付くので、お湯に漬ける時間をほんの数秒にすればいい。または、アルコールに柔らかくなるまで適当に漬けるのも、殺菌効果も期待でき、妥当な手段だと思う。


②油の出た標本
ミヤマには少ないが、油が出ている個体(L.cervusの小型♂や♀に多い)は、タッパーのお湯に漬けると、油が溶け出て、油膜が発生する。
油が出ているものは、おそらく腐ってはいないので、耐久性はある(=ばらばらにならない)はずだから、筆に、油を落とす台所用中性洗剤を一滴程度含ませ、軽く擦って油分を取り除く。

完全に油を抜きたい場合はアセトンを使うべきだが、私はこれで間に合っている。
あまりごしごしやりすぎて、ミヤマの体の微毛まで取ってしまわないようにしたい。


③硬死した標本
古いパッキングの欧州の標本、中国のヒメミヤマ系に、どのような薬品を使ったのかわからない(おそらく強い酒の類?)が、カチカチで全く柔らかくならないものも存在する。

こうしたものは、逐一確認しながらお湯が冷めるまで長く漬けてみたり、故意に体の各部位をはずして(壊して)、体内にお湯を侵入させて柔らかくする。


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さて、お湯からあげた後のポイントは以下である。
k-sugano氏の『くわ馬鹿』の記事だ。これを参照させていただき、ミヤマで解説していく。

前足の処理:
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写真は軟化前のカチカチの様子である。まずは、甲虫の脚の構造への理解が必要だ。
それはつまり、脚の「基節」・「転節」・「腿節」の可動範囲への理解である。

この各部位を理解し、効果的に整形できれば美しく展足ができるのである。

写真は軟化した状態である。前脚を前方方向へ向けることができなければ、展足はできない。柔らかくなっていることを前提に、注意を払って腿節を前方に押して行く。
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無理をすると、「折れてしまう」。本当に、ミヤマは折れやすい。
経験が教えるところだが、ここは、本当に慎重に、かつ思い切ってやらなければならない。


中脚、後脚については、それほど問題は無い。
脛節と腿節に限らないが、関節を曲げるときは、軽くペキッと音がする。

ちょうど、我々の関節が鳴るのと同じ?程度なので、怖がる必要はない。
しかし、関節の動く方向に逆らうと、本当にすぐに折れるので注意!


大顎の処理:
閉じたまま固まってしまった場合、これを開かなければならない。

ほとんどの標本は、閉じて死んだままの状態でパッキングされている。
少し、力を加えて開かなければ、無理してはいけない。
私自身、結構な数のミヤマを壊して今に至る。
顎を開いた勇壮な顔を拝みたい気持ちを抑える「冷静さ」が必要だ。


このような場合、無理にこじ開けることは止めたい。

一旦頭部を取り外す。
そして頭部と前胸部をつなぐ穴から尖ったピンセットを入れ、
大顎の付け根あたりの筋肉をかき出すように突付く。
そうすれば、大顎は難なく開くのである。

慣れてくれば、半分頭部を胴に繋げたまま、開くことが可能だ。
もちろん展足・乾燥後は、接着の必要はない。

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全体の整形:
そして、全体に移る。
符節や触覚は、ピンセットを用いて伸ばす。

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今までの処理で、頭部を前胸部から取り外した場合、
あるいは、状態が悪くばらばらになった場合は、
個別に展足するほうが綺麗にできる。

by Ginettino | 2007-09-19 02:34 | 標本作製 | Comments(0)

覚書 学名

Lucanus hildagardae Zilioli, 2002
ヒルデガルドミヤマクワガタ
Lucanus hildagardae Zilioli, 2002
 : China, Sichuan

cf. M. Zilioli
"A new stag- beetle of the genus Lucanus Scop. from Chinese Province of Shaanxi (Coleoptera, Lucanidae)", in Atti Soc. it. Sci. nat. Museo civ. Stor. nat. Milano, 143/ 2002Ⅰ, 131- 135, Luglio 2002


________________________________________



Lucanus szetschuanicus Hanus, 1932
シセンミヤマクワガタ
Lucanus szetschuanicus Hanus, 1932
: China, Szetschuan

ssp. lati Nagai, 2000
Lucanus szetschuanicus ssp. lati Nagai, 2000
: Myanmar, Katctin, Putao, Karadab


Lucanus fairmairei Planet, 1897
フェアメールミヤマクワガタ
Lucanus Fairmairei Planet, 1897
 : Birmanie,Tibet
 / China(Sichuan,Yunnan)/ Myanmar/ N. Thailand


Lucanus mazama (Le Conte, 1861)
マザマミヤマクワガタ
Dorcus mazama LeConte, 1861
 : New Mexico
 /W.USA/ Mexico

syn. bicostatus Angell, 1916
Psudolucanus Mazama va. bicostatus Angell, 1916
 : New Mexico

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Lucanus ludivinae Boucher, 1998
ルディヴィナエミヤマクワガタ
Lucanus ludivunae Boucher, 1998
 : China, N.W. Yunnan, Nu Syan, Baosyan District, 2500m

________________________________________
Lucanus maculifemoratus Motschulsky, 1861
ssp. boileaui Planet, 1897

ボイレアウミヤマクワガタ
Lucanus Boileaui Planet, 1897
 : China, Tibet
__________________________
Lucanus maculifemoratus Motschulsky, 1861
ssp. jilinensis Li, 1992

ジリネンシス
Lucanus maclifemoratus ssp. jilinensis Li, 1992
: China, Jilin
* Krajcik, 2001: p.79
___________________________
Lucanus nangsarae Nagai, 2000
ナンサーミヤマクワガタ
Lucanus nangsarae Nagai, 2000
 : Katctin, E.Sazai-pong, 1900m, N.Myanmar
________________________
Lucanus didier Planet, 1927
ディディエルミヤマクワガタ
Lucanus Didier Planet, 1927
 : Pe-yen-tsin, Yunnan, China

________________________________________
Lucanus hayashii Nagai, 2000
ハヤシミヤマクワガタ
Lucanus hayashii Nagai, 2000
 : Myanmar, Kachin, Putao, Kushin 1400m




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Lucanus manai Bomans et Myiyashita, 1997
マナミヤマクワガタ
Lucanus manai Bomans et Myiyashita, 1997
 : Burma, Kachin Prov.
 /N.Myanmar

________________________________________
Lucanus nosei Nagai, 2000
ノセミヤマクワガタ
Lucanus nosei Nagai, 2000
 : N.W.Katctin, Karadap, 2200m, N.Myanmar




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Lucanus koyamai Akiyama et Hirasawa, 1990
コヤマミヤマクワガタ
Lucanus koyamai Akiyama and Hirasawa
,in Hirasawa and Akiyama, 1990
 : Thailand, Mt.Doi Pao Hom Pog

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Lucanus maedai Nagai et Tsukamoto, 2003
マエダミヤマクワガタ
Lucanus maedai Nagai et Tsukamoto, 2003
 : Myanmar

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Lucanus miyashitai Mizunuma, 1994
ミヤシタミヤマクワガタ
Lucanus miyashitai Mizunuma in Mizunuma and Nagai, 1994
 : N.E.Thailand, near Nan

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Lucanus satoi Nagai et Tsukamoto, 2003
サトウミヤマクワガタ
 : Laos
____________________________
Lucanus fryi Boileau, 1911
フレイミヤマクワガタ
Lucanus Fryi Boileau, 1911
: Birma Ruby Mines
/ Myanmar / Thailand /S.W.China (Yunnan)

________________________________________
Lucanus furcifer Arrow, 1950
フルキフェルミヤマクワガタ
Lucanus furcifer Arrow, 1950
: Sikkim, Lachen Lachung

syn. singularis Planet, 1903
Lucanus sigularis, nec Planet, 1900 Planet, 1903
: Inde or.

________________________________________
Lucanus tibetanus Planet, 1898
チベットミヤマクワガタ
Lucanus tibetanus Planet, 1898
: Thibet, Siao-Lou
/China (Sichuan, Yunnan, Xizang)

ssp. katsurai Mizunuma, 1994
Lucanus tibetanus ssp. katsurai Mizunuma, 1994
: Viet., Sapa, Hong Lien So'h

ssp. isaki Nagai, 2000Lucanus tibetanus ssp. isaki Nagai, 2000
: Myanmar, Kachin Kaunglandam, 2000m

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Lucanus villosus Hope, 1831
ヴィロサスミヤマクワガタ
Lucanus villosus Hope, 1831
: Nepal


________________________________________
Lucanus lunifer Hope, 1839
ルニファーミヤマクワガタ
Lucanus lunifer Hope[Westwood] in Royle, 1839
: Hymalayas
/N.E.India/ Nepal/Sikkim/ Bhutan/ Myanmar/China (N.W.Yunnan, Xizang)/ Assam

syn. rugifrons Hope et Westwood, 1845
Lucanus rugifrons (fem.) Hope et westwood, 1845
: Himalayas?
syn. lama Burmeister, 1847 nec oliver, 1789 Burmeister, 1847
: India or

ssp. franciscae Lacroix, 1971
Lucanus fransiscae Lacroix, 1971
: Shillong, Assam


________________________________________

Lucanus westermanni Hope et Westwood, 1845
ウェスターマンミヤマクワガタ
Lucanus Westermanni Hope et Westwood, 1845
 : Assam
 / Nepal / N.E.India/ Bhutan/ Bangladesh/ China

syn. miniszechi Planet, 1900
Pseudolucanus Miniszechi Planet, 1900


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Lucanus atratus Hope, 1831
アトラトスミヤマクワガタ
Lucanus Atratus Hope, 1831
 : Nepal
 /N.E.India/ Bhutan

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Lucanus confusus (Boucher, 1994)
コンフサスミヤマクワガタ
Pseudolucanus confusus Boucher, 1994
 : Padong, British Bootan
 / Nepal/ NE.India

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Lucanus groulti (Planet, 1897)
グロールミヤマクワガタ
Pseudolucanus Groulti Planet, 1897
 : India
 / Nepal

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Lucanus imitator (Boucher et Huang, 1991)
イミテーターミヤマクワガタ
Pseudolucanus imitator Boucher et Huang, 1991
 : China, Xizang

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Lucanus kerleyi (Boucher, 1994)
ケーレイミヤマクワガタ
Pseudolucanus kerleyi Boucher, 1994
 : W. Nepal, Silgarhi-Dot, Dhalaum Area, 10000ft.

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Lucanus oberthueri (Planet, 1896)
オーベルチュールミヤマクワガタ
Pseudolucanus OberthueriPlanet, 1896
 : Sikkim
 /Nepal

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Lucanus wittmeri (Lacroix, 1984)
ウィットマーミヤマクワガタ
Pseudolucanus wittmeri Lacroix, 1983
 : Pakistan




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Lucanus davidis (Deyrolle, 1878)
ダヴィディスミヤマクワガタ
Pseudolucanus davidis Deyrolle, 1878
 : China, Mou-Pin/ (Sichuan, Yunnan)

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Lucanus gracilis Albers, 1889
グラキリスミヤマクワガタ
Lucanus gracilis Albers, 1889
 : Sikkim
 / Assam/ Tibet/ Nepal

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Lucanus lesnei (Planet, 1905)
レスネミヤマクワガタ
Pseudolucanus Lasnei Planet, 1905
 : Yunnan, China
 /China(Xizang)/ Myanmar/ Bhutan

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Lucanus prometheus (Boucher et Huang, 1991)
プロメテウスミヤマクワガタ
Pseudolucanus prometheus Boucher et Huang, 1991
 : Bomi-Tede, 3050m, Xizang, China


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Lucanus denticulus (Boucher, 1995)
デンティクルスミヤマクワガタ
Pseudolucanus denticulus Boucher, 1995
 : China, Yunnan, Gaolingong, Mt.2400m
 / Myanmar

syn. Noseolucanus rugosus Araya and Tanaka, 1998
Noseolucanus rugosus Araya and Tanaka, 1998
 : N.Myanmar, north of Putao, Sanbun, Katcin

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Lucanus angusticornis Didier, 1925
アングスティコルニスミヤマクワガタ
Lucanus angusticornis Didier, 1925
 : Laos, N.Vietnam
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Lucanus laminifer Waterhouse, 1890
ラミニフェールミヤマクワガタ
Lucanus laminifer Waterhouse, 1890
 : Assam, Maniper, 6000feet
 /India / Myanmar/ N.Thailand /S.W.China (Yunnan)

ssp. vitalisi Pouillaude, 1913
Lucanus Vitalisi Pouillaude, 1913
 : Tonkin, N.Vietnam

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Lucanus planeti Planet, 1899
プラネットミヤマクワガタ
Lucanus Planeti Planet, 1899
 : Chine, Yunnan Tonkin, Dong Van
 /China (S. Yunnan)/N. Vietnam(Tonkin)
by Ginettino | 2007-09-18 09:53 | 学名List | Comments(0)

れんの博物学ライフの覚書スペース“オペルカ”. 主としてミヤマクワガタ Lucanus [Coleoptera, Lucanidae]に関することをあれこれつづってゆきます。「ミヤマは数見なきゃ語れない」


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